昭和車的実験室(T-VIS編)
8月も今日を含めて後二日で終わりの今日、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
いやぁバタバタと忙しくしていたら、当ブログの更新もカナリのご無沙汰でございました。
皆さんは充実した8月を過す事が出来ましたでしょうか。
短い夏も終わり、これからは味覚の秋、行楽の秋、ドライブの秋です。
さぁドライブに向けて、しっかり昭和車の整備しておきましょう!
今日は「昭和車的実験室(T-VIS編)」という事で語ってみたいと思います。
皆さんはT-VISはご存知でしょうか?
当ブログにお越しの方々は特にGX系好きな方々が多いと思うので、良くご存知の方も多い事でしょう。
1G-GEUエンジンの吸気側に取り付けられたシステムの事で、高回転のパワーを損なわず、低速側のトルクと燃費も両立させようと言う欲張りなシステムなのです。
現代ではもっともっと高度なシステム(ホンダVTECやトヨタVVT-I等)がありますが、その走りとでも言えば良いのではないでしょうか。
吸気制御装置T-VIS(トヨタ バリアブルインダクションシステム)とは
吸気マニホールドの各気筒用通路を2分割し、片側の通路に吸気制御バルブを設け、このバルブをエンジン回転数に応じて開閉する事により、従来の4バルブエンジンにありがちな低速性能の低下を防ぐと共に、低中速域での燃焼状態を常に安定させ燃費の向上をはかりました。(新型車解説書より引用)
私的に少し解説すると、流体と言うものは仮に流量が同じ場合、通路の面積が狭いほど流速が上がります。
広いほど、流速は遅くなります。
例えるならストローを思い出してください。
同じように吸っても、細い方が勢い良く吸えるはずです。
エンジンの吸気側に関しても同じ事が言えるのです。
低速域の様に吸気流量が少ない場合、吸気面積が大きいほど吸気流速が落ちてしまいます。
流速が落ちる事によって、燃焼効率の低下、低速域のエンジンの緩慢さやトルクの無さ、また燃費の低下など弊害が発生してしまいます。
逆に高回転の様に吸気流量が多い場合は、吸気面積はそれなりに大きい方が吸気抵抗が少なく性能が上がります。
狭ければ、吸気抵抗が大きくなり高回転になればなるほどパワーが出ない事になります。
それならば低速では吸気面積を絞って、高回転では吸気面積を広げてやればいいじゃないかという事です。
そこでこのT-VISの登場です。
1G-GEUはサージタンクより1気筒に対して2ポート(バルブ1に対して1ポート、合計12ポート)ずつ配されているわけですが、其のうちの1ポートずつにバルブが取り付けられています。
低中速ではそのバルブを閉じて1ポート化。
高回転では其のバルブを開けて2ポート化にするんです。
単純に高回転では吸気面積は、ほぼ倍になるという事です。
今の技術からすれば原始的な制御方法ではありますが、とても良く考えられたシステムです。
そういった制御ではスロットルも同じような工夫がなされています。
1G-GEUでは、ツーバレルスロットルボディといって、スロットルバタフライが(大小)に分かれています。
小さい方(プライマリースロットルバルブ)は低負荷用で、大きい方(セカンダリースロットルバルブ)は高負荷用です。
プライマリー側開度25°でセカンダリーも開き始めるようになってます。
T-VISと同じような考え方で、低速域をより細かく制御しようという事なのです。
面倒臭い機械的な話はコレ位にして、ココでとりあえず実験してみたいと思います。
本来回転数制御されているはずのT-VISを全回転域全開状態にしてみたいと思います。
どの程度T-VISが1G-Gに効果的なのか、違いでわかるはずです。
ガンガン飛ばすなら、T-VISなんて要らないんじゃないの??
街乗り以外は効果無いんじゃない???
色々と意見がありそうなので、早速いってみましょう。
制御方法はサージタンクの負圧による制御になります。
サージタンク→バキュームタンク→VSV(バキュームスイッチングバルブ)→T-VISアクチュエーターの順で負圧がかかります。
要はアクチュエーターに負圧が掛かれば閉じて、大気圧になれば開くという事です。
そのスイッチングをある回転でVSVがON、OFFして動作しているわけです。
という事は単純にアクチュエーターに常に大気圧を掛ければ開きっぱなしという事です。
写真正面のアクチュエーターがT-VISのものです。
そこに入っている負圧ホースを抜いてしまえば作業は完了。
一応抜いたホースにはメクラしておきました。
「T-VIS OFFでのインプレ」
まずアクセルの反応が鈍い(マイルド)になりました。
ノーマルの方がシャキシャキ吹けるのに対して、何ともマッタリしています。
走り出してスグ感じるのは、アクセル開度に対して車速の乗りが遅い事。
まぁ著しく走らない訳ではないので、ちょっと遅いかなぁって感じです。
ハーフアクセルにて100㌔強まで加速してみると、ナンだか遅いぞコレ。
いつもならばとっくに100㌔越えているところなのにって感じです。
中速域は結構な差を感じますね~。
それでは全開インプレですが、さすがに高回転はどちらもT-VISは開いているので差は無し。
あえて言うならば、中速域のトルク感が無くなったのでシフトアップして回転がドロップした時の加速が若干遅い感じです。
吹け上がっていくフィーリングはそんなに悪くなかったですよ。
「T-VIS ONでのインプレ」
お~アクセルに対して、エンジンの反応がかなり敏感になりましたよ~。
コレだよコレッ!このシャキシャキ感が無いとね~やっぱり。
走り出して一番違うのはやはり中速での加速力。
もうはっきり言って段違いに走ります。
トルクの厚さが歴然。
当然全開走行をさせても中速のトルクが有る分、車速の伸びが良いです。
OFFでは上しか楽しくないんですけど、ONでは中速から加速力を楽しめます。
いかに吸気制御がエンジンの燃焼状態に影響があるか、今回の実験ではっきりと判りました。
T-VIS恐るべし!!!
あとがき
今回は前から一度やってみようと思っていたT-VISの実験をやってみました。
これだけの違いが出るとは、やはり当時の開発陣たちの苦労の結晶は伊達じゃなかったですね。
直列6気筒1G-GEUツインカム24、すでにデビューから26年も経っていますが、今でもナカナカ楽しいエンジンです。
ココ最近はイーグル三昧ですな~。
次は何をいきましょうかね~。
次回もお楽しみに~ マタネッ(*^-゚)/~
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